失敗しないオフィス選び

9月24日, 2015

まずはオフィスで達成したい目標を明確に決めること。それで必要な条件はおのずと明らかになります。

佐藤俊朗(JLL 執行役員 オキュパイヤーサービス統括部長、明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科兼任講師)

オフィスはどんな会社案内よりも雄弁に企業を語ります。取引先であっても、入社希望者であっても、会社を実際に訪ねた人はオフィスの立地や環境でステイタスや実態を判断してしまいます。大切なオフィス選びに失敗しないよう、いくつかのポイントをチェックしてみましょう。

そのオフィスで達成したい目標を定める
東京の賃貸オフィスは、選び放題というわけにはいきません。相応しい立地に出会うには、まずそのオフィスで達成したい目標を明らかにすること。その目標からロケーションの必要条件が見えてきます。リクルーティングを強化すべき会社が、ロケーションで劣っているのは致命的。かといって大手町や丸の内の高い家賃が、すべてのビジネスの目的に寄与するわけではありません。オフィス移転や解説は大きな投資だと考え、そこで達成すべき目標を明確にしましょう。

成長企業なら、人員の倍増に対応できるオフィスを
急激に人員を増強する可能性のある会社には、柔軟にレイアウトできる物件が向いています。最初は30人で始めても、ひょっとしたら60人になる見込みもあったら、一部をフリーヤードにできるようなオフィスがいいでしょう。新しいビルには、柱の少ないコラムフリー構造や、空調の使い勝手がいい物件も増えています。東京のオフィスは世界的にもハイスペックですが、その中でもレイアウトしやすいスペースのオフィスは一層のメリットになります。

集約できるものは集約する
集約できる事業拠点はできるだけまとめましょう。コミュニケーション、シナジー、プレゼンス、どれをとってもメリットがあります。無駄な設備が省けることはもちろん、企業のイメージも大切です。「JLL? どこの?」と聞かれるより、「プルデンシャルタワーのJLL」という認識が広がれば、コミュニケーションの上でも恩恵があるのです。いま別々の場所でやっている事業を、同じ場所でできないかと考えてみることは大切です。

設計のプロと一緒に検討する
新しいオフィスの候補が3つぐらいに絞られたら、設計や空間デザイン、またはプロジェクトマネージントのプロフェッショナルをまじえて検証しましょう。「ここを重要な会議室にしたいが、音は外部に漏れないか」「ここにキッチンを作ったら追加コストがどれだけ必要になるのか」など、現場で具体的な相談ができる恩恵は計り知れません。物件を決めたあとで「図面を引いたら入らなかった」などというケースを防ぐためにも、オフィス選びの早期からプロの視点を入れることは重要です。

賃料だけがコストではない
移転をすると通勤パターンが変わり、支払う交通費も変わります。賃料が安い場所に引っ越しても、それ以上に交通費が高くつくのであれば意味がありません。また、空調費が高くつくオフィスは24時間稼働に向きません。その場所でどれだけプロフィットを出せるのか、コストだけではなく全体の事業収支を考えることが重要です。特に交通費は事前にシミュレーション可能なので、現在の交通費と比較してみましょう。

完璧な物件はないが、妥協する必要もない
賃貸オフィスに、あらゆる面で100点満点の物件など存在しません。いちばん大事な目的と合致させ、優先順位の低い目的を捨てていくプロセスも時には必要です。会社の目的は、社内の人がいちばんよくわかっているはず。その目的を明確化して不動産のプロにぶつけることで、適切な情報が得やすくなります。そもそも探し方がわからないという方は、正直にそこから相談されるものいいでしょう。