オフィス移転は、企業にとって非常に大きな時間・費用・人的リソースのともなう事業。 オフィス移転を成功させるために担当者が事前に考えておくべき重要な4つのポイントを、移転前から当日・移転後までの流れをそれぞれの時期に合わせて使えるチェックリストとともに紹介。
オフィス移転は、企業にとって非常に大きな時間・費用・人的リソースのともなう事業です。 オフィス移転を成功させるために担当者が事前に考えておくべき重要な4つのポイントを、移転前から当日・移転後までの流れをそれぞれの時期に合わせて使えるチェックリストとともに紹介していきます。
JLLでは、アフターコロナに対応したオフィスのあり方や多様な働き方の実現に向けた「ワークプレイス5つの柱」を提唱しています。
この理念にもとづきJLLがオフィス移転をサポートした企業にて、移転コスト削減・労働環境改善・従業員のロイヤルティ向上などの大きな効果が得られた成功事例もぜひ参考にして下さい。
オフィス移転を滞りなく効果的に進めるには、どの時期に何をすればいいのかを明確にし、チェックリスト化しておくことが不可欠です。 以下は、時期ごとに行うべきプロセスと一般的なチェックリストになります。 ぜひ、当ページを印刷をしてご利用ください。
オフィスの規模にもよりますが、一般的には6か月前には移転の手続きや作業を本格的に開始します。それまでに、以下のプランニング作業を進めておきましょう。
まずは今回のオフィス移転でどのような課題を解決し、どのような結果を得たいのか、移転の目的を明確化します。次に各部署の年間計画等をふまえて具体的な移転のスケジュールを計画立案します。最後に上記の条件を満たす移転先のオフィス選びを開始しましょう。
項目 | 内容 | ポイント | チェック |
移転目的の明確化 | 現状の把握 |
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オフィス移転で達成したい目標設定 | |||
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移転計画・スケジュールの立案 | 移転にかかる内装・引越し費用を算出 |
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入居中オフィスの解約予告期間、原状回復工事、特約事項などについて現契約書の確認 | |||
移転先オフィス選び | オフィス市況の把握 |
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オフィス情報収集 | |||
適性面積の検証 | |||
必要条件に基づいた移転先候補ビル物件選定 | |||
移転先候補ビルの内覧等による現地調査 | |||
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移転先候補ビルの契約形態、条件の確認 | |||
予算・スケジュール策定 |
移転予定日の6か月前からは、いよいよ実際の契約に向けて交渉や手続きを行います。
決定した新オフィスの賃貸契約書を締結し、具体的なオフィス内部のプランニングやレイアウトを検討・決定します。この段階は実務的な作業の数も非常に多いため、チェックリストでの確認をさらにしっかりと行いましょう。
項目 | 内容 | ポイント | チェック |
賃貸借契約締結 | 契約締結に向けての物件交渉 |
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検討依頼書の提出 | |||
賃貸借条件の交渉 | |||
借室申し込み書の提出 | |||
賃貸借契約条文調整 | |||
重要事項説明 | |||
敷金預託 | |||
賃貸借契約の締結 | |||
オフィスプランニング・レイアウト | 業者選定・依頼 |
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与信整理 | |||
新オフィスのデザイン | |||
金額・条件交渉 | |||
発注 |
旧オフィスの解約条件等を再確認し、解約手続きを行います。移転にともなう工事・搬出業者の手配、外部への周知連絡も開始します。
項目 | 内容 | ポイント | チェック |
現オフィスの解約手続き | 解約予告の提出(6か月前) |
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退去条件交渉、スケジュール確認 | |||
原状回復工事の手配 | |||
オフィス明け渡し日決定 | |||
移転作業開始 | 内容工事、設備工事開始 |
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社員への移転スケジュール広報 | |||
梱包・搬出マニュアルの準備 | |||
取引先への連絡・プレスリリース | |||
移転案内の発送準備 |
いよいよオフィス移転直前となる1ヶ月前から当日~移転後に行うことは以下のようなものが挙げられます。
新オフィスの運用ルールを整理し、社内各所へ共有します。ビルの管理者側へも必要な手続きを確認して進めましょう。
項目 | 内容 | ポイント | チェック |
運用ルール広報 | 新オフィス運用ルールの周知 |
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新オフィスビル利用手 | 入館証の発行申し込み |
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ゴミの分別廃棄方法確認 | |||
内線番号の割り付け |
オフィスの移転が完了すれば、行政やライフラインへの所在地変更にともなう届出や手続を行います。こちらも件数が多いため、漏れのないようチェックリストをご活用下さい。
旧オフィスの原状回復と引き渡しもすみやかに行います。
項目 | 内容 | ポイント | チェック |
移転後手続き・旧オフィス原状回復 | 移転に伴う行政への提出物 |
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法務局(移転登記) | |||
税務署(異動届、給与支払事務所の移転届出) | |||
社会保険事務所(保険適用事業所所在地変更届) | |||
労働基準監督署(労働保険関係成立届、他) | |||
公共職業安定所(雇用保険事業主事業所) | |||
電話の移転手続きなど | |||
郵便局への届け出 | |||
原状回復工事完了 | |||
旧オフィスとの契約終了・引渡し | |||
敷金・保証金返還(引渡後数か月以内) |
企業がオフィス移転を考える理由はさまざまですが、かつてのように事業規模拡大や縮小にともなうオフィス面積の問題や設備の老朽化といったハード面だけでなく、より戦略的な視点での移転計画がこれからの時代のトレンドになってゆくと考えられます。
移転時に検討・実施すべき要素のなかでも重要な4つの戦略ポイントを解説します。
2020年のコロナ禍を境にオフィスや働き方のスタンダードは大きく変化し、ニューノーマルの働き方として「ハイブリッドワーク」を取り入れる企業が増えています。
ハイブリッドワークとは、ミーティングのオンライン化、勤務日や勤務時間、勤務場所(自宅・サテライトオフィスなど)を個人が設定できる、よりフレキシブルなワークスタイルです。
また日本における少子化問題やジェンダーギャップ解消は喫緊の課題であり、男女を問わず育休や時短勤務・企業内託児所などが活用できる働き方の浸透が社会全体で求められています。移転後に自社がどのような勤務体制を取るのか、そのためにはどのようなオフィス構築が必要なのかを長期的に見据えたプランニングが不可欠です。
顧客に選ばれ第一想起される企業には確固たるブランドイメージが存在します。オフィスのコンセプトを明確にすることで、クライアント・パートナーなど外部に向けてのブランディング効果が期待できます。
また戦略的なブランディングを実践できているオフィスでは、広報・開発・営業といった部署のみならず、バックオフィス系を含むすべての部署の従業員が自社のブランドを理解し、同じ方向性のもと働くことが可能になります。
さらに、少子高齢化社会において人材採用と確保は今後ますます厳しくなることが予想されるなか、適切なオフィスコンセプトの設定と実施・発信を行うことにより、自社の理念とマッチした人材を採用できる可能性もより高まっていきます。
オフィス移転の大きな効果・目的の1つにコスト削減が挙げられ、最適なオフィスタイプの選定により、事業規模や人件費に影響を与えずコスト削減が実現します。
全従業員の出勤を前提としたコアオフィスの固定観念を取り除き、幅広い選択肢からオフィスのありかたを検討することで、移転後のコスト最適化が可能です。
新しいタイプのオフィスには、都心または郊外で複数の会社が共同でオフィスを使用するシェアオフィス、内装工事や什器家具が備え付けのCIRCLES平河町、COERU SHIBUYA(コエル渋谷)、ビズミックス淀屋橋、四条SETビルといったセットアップオフィス、前入居者が設備を残しているため初期費用が抑えられる居抜きオフィスなどがあげられます。
オフィス移転は、それ自体ではなく移転によって自社の抱える課題を解決することが目的です。例えば、移転後に企業のコンセプトに合ったオフィス環境や働き方が実現し従業員のパフォーマンスやロイヤルティが向上する、コストが削減できてビジネスの成長に寄与する……といった効果が得られなければいけません。そのために欠かせないのが効果の検証です。社員へのヒアリングといったソフト面での検証に加え、オフィスの利用率を可視化するテクノロジーツールもより明確な数値を導き出すために有効です。
リーガルテックサービスを提供するL社は、2021年に東京・日比谷から豊洲へ本社オフィスを移転しました。同社の手がけるソフトウェア研究開発ニーズの高まりに合わせ、希望条件(都心に近い立地・ワンフロア)に合わせキャパシティ拡張が可能な物件として、希少な大区画の居抜き物件を確保することで大幅なコスト削減に成功しています。
法人向けITソリューション開発提供を行うN社は、7フロアに分散するオフィスを移転統合し、社員の誇りとなる魅力的なオフィス構築を実現しました。コロナ禍により発生したさらなる課題によりプロジェクトの変更を余儀なくされましたが、安全なオフィス環境やテレワークが可能なシステム整備を推進し、最終的に当初想定予算の4割減にて期間内の移転を完了。一体感や帰属意識から生まれるイノベーション創出や人材確保と長期雇用につながるオフィス構築に成功しています。
京都で自治体や大学など公共性の高い顧客を中心にITソリューションを提供するK社は、2022年5月に本社オフィスを移転し、テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドな働き方を開始しました。京都市は景観に配慮した都市計画により高層オフィスビルが少なく、条件に合ったオフィス探しは難航しましたが、フリーアドレス化と異なるコンセプトに基づく4フロアのオフィス構築で、課題であった労働環境の改善とコミュニケーションの向上、人材採用の安定化を解決できました。
今回は、スムーズなオフィス移転のために押さえておくべきポイントと、漏れなく準備を進めるためのチェックリストをご紹介しました。
オフィス移転の成功には、ハード面や費用はもちろんですが、そこで働く「人」の満足度や課題解決に気を配ることも欠かせません。
このチェックリストはそうした人的側面も包括した内容となっていますので、経営・総務などオフィス移転のキーパーソンとなるご担当者はぜひプリントアウトしてご活用下さい。
より具体的なオフィス移転のスケジュールや、豊富な成功事例に基づき自社に最適化したアドバイスをお求めなら、JLLまでお気軽にご相談下さい。