第3四半期の物流関連指標はまちまちとなった。新型コロナウイルスを受けて、鉱⼯業⽣産指数は8⽉に前⽉⽐+1.7%と3か⽉連続の増加、輸出(⾦額)は前年⽐-14.8%と21か⽉連続の減少、輸⼊(⾦額)は同-20.8%と16か⽉連続の減少となった。
第2四半期末時点の東京圏の価格は前期比0.3%の下落、前年比1.7%の上昇となった。賃料の下落を反映した。投資利回りの変動はなかった。
第3四半期にオンライン⼩売業による旺盛な需要が持続し、新規供給を吸収したことから、ネットアブゾープションは382,000㎡となった。第1四半期から第3四半期までの累積は1,779,000㎡となり、2019年第1四半期から第3四半期に記録された1,830,000㎡と同⽔準となった。第3四半期の東京圏の新規供給は3棟310,000㎡となり、ストックは前期⽐2%、前年⽐18%増加した。新規物件は全て内陸エリアに所在し、プロロジスパークつくば2(112,000㎡)、MFLP⼋千代勝⽥台(76,000㎡)などが供給された。
第3四半期の東京圏の空室率は0.1%となり、前期⽐0.5ポイント、前年⽐1.9ポイントの低下となった。5四半期連続で過去最低を更新した。東京ベイエリアの空室率は0.0%と前期と同じく空室がなく、内陸エリアは前期⽐0.8ポイント低下し0.1%となった。
第3四半期末時点の東京圏の賃料は⽉額坪当たり4,341円となり、前期⽐0.2%の下落、前年⽐1.4%の上昇となった。2四半期連続の下落を⽰した。新規供給物件が相体的に賃料の低い内陸部に集中したことが下落につながった。ベイエリアは前期⽐0.1%の上昇、内陸エリアは前期⽐0.1%の下落となった。第3四半期末時点の東京圏の価格は前期⽐0.1%の上昇、前年⽐1.6%の上昇となった。賃料の下落を反映した。投資利回りの変動はなかった。
第3四半期の東京圏のロジスティクス投資総額は前年⽐140.4%増の2,695億円となった。当四半期の投資事例には、三井不動産ロジスティクスパーク投資法⼈よるMFLP川⼝Iの取得が挙げられる。価格は185億円、NOI利回りは4.1%であった。
Oxford Economicsによると、2020年に鉱⼯業⽣産指数9.0%の減少、輸⼊は8.2%の減少となる⾒通しである。リスク要因には、新型コロナウイルス感染症による国内外経済の下振れが⽣産や輸出⼊に与える影響が挙げられる。
賃貸市場では、賃料⽔準が⽐較的低いサブマーケットでの新規供給による賃料下押し圧⼒があるものの、⼟地価格の⾼騰による賃料上昇圧⼒がそれを上回ると予測され、平均賃料は上昇する⾒通し。
投資市場は、安定的なコア資産として当セクターに対する投資家の強い関⼼は続くとみられ、投資利回りが⼀層低下する可能性がある。
2020年11月30日 更新