第1四半期の物流関連指標はまちまちとなった。新型コロナウイルスを受けて、鉱⼯業⽣産指数は2⽉に前⽉⽐-2.1%と2か⽉ぶりの減少、輸出(⾦額)は前年⽐-4.5%と3か⽉ぶりの減少、輸⼊(⾦額)は同+11.8%と22か⽉ぶりの増加となった。昨年の緊急事態宣⾔と⽐較すると、⼆度⽬の緊急事態宣⾔の影響は限定的となった。
第1四半期の新規供給が限定的なため前四半期からは減少しているが、3PLとオンライン⼩売業による旺盛な需要が持続し、ネットアブゾープションは235,000㎡となった。
第1四半期の東京圏の新規供給は5棟345,000㎡となり、ストックは前期⽐2%、前年⽐12%増加した。新規物件は全て内陸エリアに所在し、DPL桶川(89,000㎡)、Dプロジェクト平塚(65,000㎡)、GLP⼋千代3(60,000㎡)などが供給された。
第1四半期の東京圏の空室率は0.9%となり、前期⽐0.7ポイントの上昇、前年⽐0.2ポイントの上昇となった。東京ベイエリアの空室率は0.0%と前期と同じく空室がなく、内陸エリアの空室率は新規供給による空室増加によって前期⽐1.1ポイント上昇し1.4%となった。
第1四半期末時点の東京圏の賃料は⽉額坪当たり4,388円となり、前期⽐0.7%、前年⽐0.7%の上昇となった。新規供給の賃料⽔準が上昇を牽引した。ベイエリアは前期⽐0.8%の上昇、内陸エリアは前期⽐0.9%の上昇となった。
第1四半期末時点の東京圏の価格は前期⽐3.3%、前年⽐6.3%の上昇となった。投資利回りの低下と緩やかな賃料上昇を反映した。
第1四半期の東京圏のロジスティクスセクターにおける商業⽤不動産の直接投資総額は前年⽐49.5%減の1,074億円となった。
当四半期の投資事例には、⽇本プロロジスリート投資法⼈よるプロロジスパーク千葉2の取得が挙げられる。価格は150億円、NOI利回りは4.5%であった。
Oxford Economicsによると、2021年に鉱⼯業⽣産指数2.3%の減少、輸出と輸⼊はそれぞれ11.7%と4.3%の増加となる⾒通しである。経済⽀援政策や海外経済の回復を背景に社会経済活動が再開することで、景気回復となる⾒通しである。
賃貸市場では、2021年と2022年に⼤規模な新規供給が予定されているものの、今後も需要は堅調となると予想されることから、空室率の上昇は限定的となる⾒通しである。したがって、賃料は⽐較的安定的に推移する⾒通しである。
投資市場では、投資家の関⼼の⾼さを背景に、投資利回りは⼀層の低下余地があるとみられ、価格はこれを反映して緩やかに上昇する⾒通しである。
2021年06月15日 更新