グリーンビルディングが求められている背景
JLLが日本を含めたグローバル企業426社と投資家221社を対象に実施した調査によると、 79%の企業が「二酸化炭素排出量の削減に役立つビルを入居先として優先する」と回答 しました。サステナビリティに多くの企業が注目しており、オフィス環境においてグリーンビル認証の取得をサステナビリティ目標とするケースは少なくありません。日本でのグリーンビル認証物件へのオフィス入居を希望するとの回答は50%以上です。
グリーンビルディングとは、建造物や敷地などの環境が、将来的に持続可能な環境と生活の質的向上に寄与するのかを、最初の立地選定などから、設計や建築、保守から解体まで一連のサイクルを通して、エネルギー効率が環境へ高い配慮がなされた建物を指します。
建物からの二酸化炭素排出量は総排出量の約30%を占め、世界の飲料水の約14%を消費しています。(参照:世界グリーンビルディング協会)そこで、二酸化炭素排出量や水使用量の少ないグリーンビルディングが注目されています。
米国発のグリーンビル認証制度のLEEDは、ビルのエネルギー効率、立地状況、周辺環境、水・資源保護、設計・施工・運用等による環境性能を総体的に評価し指標化した環境認証制度です。LEEDを取得した物件は、二酸化炭素排出量が約34%、エネルギー使用量が平均約25%、そして水使用量が平均約11%少なくなる傾向にあり、稼働率や賃料が高くなる傾向があり、投資対象として注目度を高めています。(参照:LEEDを運営する米国グリーンビルディング協会調査)

グリーンビルディングに必要な条件とは?
グリーンビルディングは、建設や運営にかかるエネルギーや水使用量の削減、施設の緑化などの条件を満たしていることが特徴 で、建物から地球環境、生活の質の向上に寄与します。
LEED認証を受けるための必須条件と選択項目のポイントは、認証レベル毎に設定され、各評価項目において、総合的プロセス、立地、交通、水の利用、エネルギー、資源、室内環境、革新性、地域別重み付け等の必須条件を満たし、選択項目のポイントを加算し認証のレベルが決められます。
米国発のLEEDには日本との基準の違いにより、どうしても要件が満たせない場合があります。このため、日本の他、世界の国々では、建物の環境性能を独自の基準で認証を与える評価システムがあります。日本独自のグリーンビル認証には、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)、DBJ Green Building認証、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)などが挙げられます。

グリーンビルディングがもたらすメリット・デメリットとは?
グリーンビルディングは、省エネルギーによる環境配慮やESG不動産投資の観点でのROIを高く見込めるなどのメリットもある中、グリーンビル認証取得プロセスでの想定外のケースでの対応などのデメリットも存在します。グリーンビルディングがもたらすメリットやデメリットを事前に把握しておくことが肝心です。
【メリット】
- 環境や健康への配慮をすることにより、優秀な人材の確保、従業員のウェルビーイングの向上に繋がる。
- 環境性能を高めることにより光熱費、水道費を削減でき、運営にかかる経費を削減することができる。
- 不動産投資家にとってROIが高く、メンテナンスコストも低く抑えられ、標準的な建物より高く売れる可能性が高い。
- 環境への取組み、省エネルギーや節水を達成することにより、テナント企業のブランドイメージの向上に繋がる。
【デメリット】
- 想定していた節減効果が得られない場合がある。
- 新規技術や設計の想定しない、不具合や認証取得の遅延など生じる場合がある。
- 認証には有効期限があり、すぎると再取得する必要がある。
サステナビリティ指標となるグリーンビルディング認証
昨今では、 世界各国の企業がサステナビリティレポートを作成して公表し、それぞれのサステナビリティ活動の方針・目標を表現することが一般的になりました 。この背景には前述のESGに関わる投資への関心が高まっていることが挙げられます。サステナビリティ活動の一部として、特にエネルギー・GHG削減による地球温暖化の緩和・防止策の導入は、SDGsの17項目の中でも注目が集まる分野ですが、この取り組みを表現する手法として、TCFDでの情報開示、SBTiによる目標設定、RE100による再生可能エネルギー100%達成などで、その強い意思の宣言をする企業が急増しており、近年では宣言をする日本企業数は世界3位以上を占めるほどになっています。
一方でLEED認証取得を行う理由の上位に“説明責任”が上位にランクインしています(参照: https://www.usgbc.org/articles/top-10-reasons-certify-leed)。これは、 LEED認証取得を行うことで、上記に挙げた宣言を具現化してその責任を果たそうする姿勢を明示したい企業が増えてきたということが言えます。これまでは「LEED認証を取得した後の効果・メリット」への期待が主でしたが、「LEED認証取得そのものへの価値」を重視する時代に移ってきたと言えます。
グリーンビルディングとしての認証には様々あり、着目点がそれぞれ違います。DBJ Green Building認証は環境・社会への配慮し、総合的な環境性能改善に着目しています。LEEDなどは建造物の外部環境に重きを置いて、建物が供給するエネルギーの効率に着目しています。対して、WELL認証は職場の快適さと働く人の健康を重視した空間性能を評価し、システムが人に与える影響に着目します。例えば、要件の「水」では、LEEDは節水や使用量なのに対して、WELLは水質に着目します。 WELLは設計、運用戦略のパフォーマンス結果にもとづいてポイントを取得し認定します。健康経営を対外的に発信するツール、快適性の高さを示すことから、集客向上策として、ホテル事業や商業施設でWELL認証の取得に注力し始めています。近年は環境性能だけでなく、従業員の健康やウェルビーイングへの配慮も同時に追求する動きも見られます。
企業がグリーンビルの取り組みに積極的になり、また認証制度の中でもグリーンビルの定義が年々変化しています。WELLの認証建物は、広義のグリーンビルとの見方もあり、将来的には定着するのではないでしょうか。

サステナビリティマーケットサマリー 2023年秋
2023年上半期のCASBEE取得は2022年通年の7割超、CASBEE-ウェルネスオフィス取得が3大都市圏以外で増加しています。

企業によるグリーンビル認証取得の事例

グリーンビルディングを優先的に選定する企業が増える中、自社のオフィススペースでグリーンビル認証取得を目指す事例も存在します。N社は、「持続可能な職場を従業員に提供する」というコミットメントを実現するため、LEED認証取得を目標に掲げています。オフィスビル選定には、サステナビリティ性能を有しているビルかどうかや、サステナビリティ活動に対して理解のあるオーナーであるか、というポイントを組み込みプロセスを進行しました。また、植栽を配したバイオフィリックデザインを採用する等、LEED認証取得のための様々な取り組みでオフィスを構築しました。このような企業側の取り組みにより、健康的で快適なオフィスへの従業員の期待も高まっているようです。
企業によるグリーンビルディングの取り組みは、従業員のエンゲージメント向上という社内視点でのメリットにも結びつくことができるのではないでしょうか。
環境性能を持つおすすめのグリーンビルディング・オフィス物件
不動産会社などの建物オーナーは敷地内に設置した、太陽光、風力、バイオマスなどの発電エネルギー源から調達した再生可能エネルギー電力をテナントに供給します。再生可能エネルギー電力をテナントに供給する仕組みは企業や建物によって異なり、ビル全体で一括して再エネ電力を供給する場合もあれば、ロビーやエレベーター、廊下などの共用部と、テナント各社が使用する専有部を分けて供給する場合も様々です。 ウェルビーイングな賃貸オフィスビルも増えています。
企業にとって、入居する賃貸オフィスの電力が再生可能エネルギー由来かは重要です。特に、エネルギー消費量の多い本社オフィスに再生可能エネルギー電力を導入すれば、化石燃料の高騰にも対応でき、省エネルギーは企業のイメージアップにもつながり、ESG投資の対象にもなり得ます。
実は“グリーン”な大阪オフィス市場です。大阪ではAグレード相当オフィスビルの5割が認証取得に匹敵する性能を有しており、大阪オフィス市場はアジア有数のグリーンビル集積地といえるほどの成長を遂げています。



