港区には、竹芝や芝浦といった臨海エリアに倉庫物件が点在。都心へのアクセスが良い立地を活かし、主に都市型物流や企業の本社機能・営業拠点に近い保管スペースとしての需要がある。
倉庫の種類としては、大規模な物流センターは少なく、中小規模のテナント向け倉庫やトランクルームが中心。近年、EC市場の拡大に伴い、当日配送や時間指定配送に対応するための、小規模分散型物流拠点のニーズが高まっている。
賃料水準は、都心に位置するため、郊外と比較すると高額。特に、24時間稼働可能な物件や、セキュリティ対策が充実した物件は、高めの賃料設定となっている。しかし、都心へのアクセスメリットを考慮すると、一定の競争力があると言える。
需要面では、EC事業者、アパレル関連企業、医療機器メーカー、高級ブランド品販売業者などが主なテナント。近年では、スタートアップ企業や中小企業が、都心での事業展開を支援する目的で、一時的な保管スペースや作業スペースとして倉庫を借りるケースも増えている。
港区内は、道路網が整備されているものの、時間帯によっては交通渋滞が発生しやすい。そのため、トラックの搬入・搬出がスムーズに行える物件や、首都高速道路のインターチェンジに近い物件が人気を集める傾向。
また、港区はオフィスビルや商業施設が集積するエリアであり、倉庫物件の用途変更や建て替えが進む可能性もある。そのため、長期的な視点での物件選びが重要となる。
これらの特徴から、港区の倉庫賃貸市場は、都心ならではの利便性と高コストが共存する状況であり、企業はそれぞれの事業戦略や予算に合わせて最適な物件を選択する必要がある。