賃貸契約で注意すべき重要ポイント

賃貸契約の重要ポイントに注目するだけで、将来のオフィス戦略が有利になります。

秋山祐太(JLL アソシエイトダイレクター テナントコンサルティング)

オフィスの賃貸契約にまつわるトラブルの種は、意外なところに潜んでいるもの。契約内容の重要ポイントを理解することで、将来のオフィス戦略を正しく立てることができます。

まずは契約形態をチェック
まずは賃貸契約が「定期借家契約」なのか「普通借家契約」なのかを確認しましょう。定期借家契約なら、契約年数も把握してください。普通借家契約は契約更新されますが、定期借家契約は定められた年数で一度契約が終わります。再契約のときに賃貸人より賃料上昇を前提とされたり、再契約を認めないケースも想定されますのでご注意を。

よくある原状回復の認識違い
大型ビルは床カーペットや壁クロスを新規にしテナントへ引き渡すケースが大半ですが、指定工事業者が決められていない中小ビルなどは、引き渡しの仕様も千差万別です。何となく信頼関係だけで入居して、出るときに引き渡し仕様の認識の違いからトラブルになることはよくあります。入居時には目立った損傷部分だけ修復した状態で引き渡された物件だから、退去時も同様の基準で回復すればいいだろうと安易に考えたところ、「契約書のとおりすべて新品に変えてください」と主張されるケースも見受けられます。口約束や前例よりも、契約書の内容をしっかりと読みましょう。

敷金が返ってこない
いわゆるバブル経済の崩壊後、貸主の経営体力が弱り、敷金が返還されないケースが多発しました。貸主の破たんまで進展すると敷金が戻ってこない可能性は高く、泣き寝入りするケースになりますと問題です。またリーマン・ショック以後は多くの投資目的の物件が破綻し、敷金が返還されなくなる事例もありました。貸主の経営体力を定期的にチェックすることも、敷金の返還を確保するためには重要です。

賃料の大幅値上げを防ぐ
景気が良くなればなるほど、賃料の改定が問題になってきます。契約書の賃料改定項目を確認しましょう。

内部増床権の確保
景気が良くなると、自社の経営計画に沿った貸室の確保が重要になります。ひょっとしたら将来的に面積の不足も想定される場合は、契約時にあらかじめ優先交渉権を求めることもできます。空室が判明して一定期間(30日など)、現在のテナントである企業が特別に検討期間を与えられるような権利を確保することも、オフィス戦略には役立ちます。

社内でしっかり法務確認
基本に立ち返って言えば、社内の法務確認は大切です。担当者が交代して、前任者と後任者のレビューの深さがまちまちなケースはよく見受けられます。契約書も何となく目を通すだけでなく、ポイントを絞って条件をきちんと確認すればトラブルも予測できます。口約束は引き継げません。最後は契約書の内容が何事にも優先します。